【誰にも言えない秘密】
見つかって欲しい様な、見つかったらマズい様な…。
「…あぁもう、絶対ダメだよなぁ。」
大切な物を仕舞ってある箱を前に、今日も溜め息を吐く。
「…返さなきゃ。」
きちんと洗って、綺麗に畳んで、そっとあった場所に戻せば、問題はない。
そう思っていたら、既に気付かれていたなんて!
―――油断した。
「か〜ずまく〜ん。少しお話ししたいんだけと、良いかな?」
ぴっと背筋が伸びて、情けなく上擦った声で返事をしてしまって、もう既にバレた気がする。
「ひゃい!」
心臓が煩くて、頭は真っ白で、目が回りそうだ。
「あぁ、こちらは理由が知りたいだけだから、正直に答えて欲しいな。」
怒ってないよ、と聴こえて来そうな笑顔が、逆に怖くて涙目になる。
「それは、その…。ごめんなさい!隠してました!」
頭の中が真っ白すぎて、とにかく謝らなくちゃと土下座した。
その後、とんでもない代替案が出て来て、ひっくり返ったのは、また別のお話。
6/5/2024, 11:05:31 PM