たーくん。

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誰もいなくなった薄暗い職場。
俺は課長に残業を頼まれ、一人でパソコンのモニターの光を浴びながら作業している。
……誰か一人ぐらい手伝ってくれてもいいのに。
俺の机の上には、いつ飲んだか分からないコーヒーとエナジードリンクの缶が沢山並んでいる。
これだけあればボーリングが出来そうだ。
いや、片付けるのが面倒だからやめておこう。
薄暗い職場にひとりきりでいると、正直辛い。
なので、推しの配信を見ながら作業することにした。
おっ、数分前に配信が始まったばかりだ。助かるぅ~↑
俺の推しはVTuberの女性。
明るくて可愛くて、声を聞いてるだけですごく元気が貰える。
「ねぇねえ、皆今何してるの~?」
推しからの質問に、チャット欄のリスナーのコメントが沢山流れていく。
俺もコメントしておこうかな。
"残業中なう"っと。
これだけコメントが早いと、推しに読まれることはないだろう。
「残業中なう……わぁ、遅くまでお仕事お疲れさま!配信聴きながらお仕事してるのかな?働きすぎて身体壊さないようにね?応援してるよ!」
作業していた手が、思わず止まる。
推しが……俺のコメントを読んでくれた。
しかも体調を気にかけてくれて、応援まで……。
推しの優しい言葉に、感無量だ。
普段は配信者とリスナーという距離感だけど、今日はいつもより推しを近くに感じた。

9/11/2025, 10:18:50 PM