麦わら帽子。
それはおばあちゃんがサングラスとセットでよく被っていたもの。
そして、俺にとってあの日を思い出させる格好。
俺は昔、アイデンティティクライシス、つまり自分がなんなのか分からなくっていた時期があった。
それで、夏休みともあって、家出同然におばあちゃん家に行ったのだ。ともかく両親から、学校から何もかもから逃げたくて。
おばあちゃんは畑仕事中で、いきなり来た俺を何も言わず歓迎してくれた。
焦って、悩んでいる俺を、おばあちゃんはいつも、一緒に畑仕事やるかい?って言って気分転換させてくれながら見守ってくれていた。
そうしているうちに、おばあちゃんに趣味を理解されないだって吐露して、年上の仲間が出来て、単純な事に気付いたんだ。
俺は、ただ俺の趣味を否定しない、一緒にやってくれる仲間が欲しかったんだって。なんだ、始めから相談してみるんだった。怯えなくていいじゃん。
8/11/2024, 2:11:04 PM