陽 菜 美

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「また明日」

蝉の声を背中にし夏の夕暮れの空の下でチャリを漕ぐ。

いつもと同じ場所で君とバイバイした。

「また明日!」

その一言が僕にくれた最後の言葉だった。

君は僕と別れた後、帰る途中に交通事故にあった。

夜には君の親から電話があって事故を知らせてくれ、今は落ち着いたけどまだ意識不明だそうだ。

一瞬、時が止まった。嘘だと思いたかったけどこれは紛れもなく現実だった。

それから1週間ほど経った。

学校までの足取りは重く、笑うことも喋ることも出来なかった。

ずっとずっと頭から君の事が離れない。

あの一言が頭になり続ける。

「また明日」

この言葉の重みが痛いほど分かり、また明日が来なかった事が悔しくてとても辛かった。

あのとき僕が引き止めればよかった。

少しでも時間稼ぎすればよかった。

色んな想いと共に後悔が溢れ出す。

君と、「また明日」の一言を言い合える日が来るのを待つばかりだ。

5/22/2024, 2:41:24 PM