キラリと何かが光った気がして、それを手に取ってみる。やや錆びているそれは星型の飾りだった。
これは、あれか。クリスマスツリーのてっぺんに飾るやつか。
価値のあるものじゃ無さそうだと分かった途端、肩の力が抜ける。
さらに周辺を漁ってみると、たしかにかつてツリーの装飾に使われていたと思われるオーナメントや照明の飾りが出てきた。しかしどれももうボロボロで、とても使えるようなものでは無さそうだ。
かつてこの建物に住んでいたのは、おそらく子供のいる家庭だったのだろう。ツリー自体は見つからないが、その飾りの多さからツリーの大きさが想像できる。
在りし日の光景が浮かび上がり、何とも言い難い感情が湧いてくる。
——世界がこんな状況にならなかったら、今もクリスマスの夜を楽しみにしている子供たちが居たんだろうな。
「……サンタ、生きてんのかな」
ひとり佇む廃屋に、その言葉は虚しく響いた。
【滅亡した世界のイヴの夜】
12/25/2023, 3:28:40 AM