たくちー

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 ワインレッドより薄く、猿頬よりも赤い。紅色のタートルネックのインナーが首元から覗き、陽の光を浴びて顔を明るく染める。単調な色合いになりがちな冬の装いのアクセントになる。オシャレはささやかな社会への反抗。男はナチュラルでだぼだぼなファッションばかりだから気づかない。紅のメモ帳。マニキュアにペディキュア。辛い時には色から勇気をもらう。オシャレする以上に生き甲斐となる趣味はあまりないと思う。少なくともボクはそう思ってる。気づかれないように反抗する。ダサい見た目で罵ってくる相手に謝りながら、心の中で馬鹿にして優位性を保つ。"そんな恥ずかしい格好で何言ってんの?"

コーヒーの黒ばかりの世界に紅茶の香りが漂う。
一人だけのティータイム。ホッと一息、紅の記憶。



題『紅の記憶』

11/22/2025, 7:29:27 PM