それは君が作った、君だけのメロディのはずだった。
ある日、匿名でアップされたミュージックビデオ。一回聴いたら耳に焼き付いて離れないようなそのキャッチーなメロディに人々は熱狂した。その曲はたちまち大ヒットし世界的に有名な曲となった。
そして僕は気付いた。そのメロディは、いつぞやに君が作曲して音楽室で僕に聴かせてくれたものと同じだと。君があの時「将来はシンガーソングライターになるんだ」と夢を語っていたのが、つい最近のことのように思い出される。このミュージックビデオを出した謎のアーティストの正体は君に違いない。
僕は君にすぐ連絡した。「おめでとう」と。けど君から返信はなかった。
その翌日、君は自殺していたと聞かされた。これからだったのに、どうして……。
君が死んでからも、あの曲は流れ続け、作曲者が亡くなったみたいなニュースも出ず、その曲の歌手は顔を伏せて活動している。
つまりあのミュージックビデオを出したのは君ではなかった。君のメロディは盗まれてしまったんだ。君が最後に記したメモにもそう書かれていた。だから絶望して君は……。
今、僕は弁護士に相談し、あの曲が盗作である証拠を集めているところだ。
君だけのメロディ、必ず取り戻してみせる。
6/14/2025, 2:46:21 AM