たーくん。

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テーブルの上に並んだ甘いお菓子達。
仕事帰りに、お気に入りの洋菓子店で買ってきたのだ。
『先輩は彼氏との甘々な思い出とかあるんですか?』
今日、職場で後輩から聞かれた質問。
今思い出しても、腹が立つ。
私は今まで彼氏が出来たことがないし、仕事以外で男性と話すことはほとんどない。
私が回答に困っていると、後輩は追い討ちをかけるように攻めてくる。
『あれれ?もしかして先輩って──』
『あ、あるわよ!少しぐらい……』
つい勢いで言ったけど、後輩はニヤニヤしていた。
絶対バレてるよね……。
「はあ……」
大きな溜め息を吐きながら、お菓子を掴んで口へ運ぶ。
疲れた時とストレス発散は、やっぱり甘い物を食べるに限るよね。
手を伸ばすごとに、次々とお菓子が減っていく。
お腹の肉を掴むと、まるで大きなハンバーガーを掴んだような感触がする。
ダイエット、したほうがいいかな。
痩せたら彼氏が出来るかもしれないし。
甘々な思い出どころか、体重が増えていく一方だ。
「今日は沢山お菓子買っちゃったし、まっ、いっか。お菓子に罪はないし、食べよ食べよ♪」
私は鼻歌混じりでお菓子を口の中に入れ、ゆっくりと何度も噛み、甘々でとっても幸せな時間を堪能した。

5/3/2025, 1:07:07 AM