わをん

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『朝日の温もり』

「さむっ」
海沿いの公園の隅に張ったテントで目を覚ます。寝袋が夏仕様なので朝晩冷えるこの時期は寒くて目が覚めてしまうのだ。着替えて畳んで外へと出ると空の端が明るくジャングルジムの輪郭も闇から抜け出てはっきり見えた。テントを畳み終わる頃には日が昇るだろうかと肌寒さに震えながら思う。
愛車の50ccのバイクに異常がないかを点検してから畳んだテントを積み終えると東から閃光が差してきた。光は熱をもたらし温められた空気は風を生む。バイクに乗って感じる風も好きだけど、緩やかに頬を撫でる潮風も好きだった。大きく伸びをして光を浴びていると眠気に霞んでいた頭が澄んでいく。
「よし、朝飯だ」
バイクのシートをひと撫でしてエンジンをかける。まだ少し感じる肌寒さもそのうち気にならなくなるだろう。

6/10/2024, 3:18:59 AM