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切り離された世界


はあっ…はあっ…
こんなにも人がいるのに、音だけが聞こえない。
私は渋谷のスクランブル交差点を早足で駆けている。
冷や汗と、バクバクと鳴る心臓と自分の息づかいだけが耳に届く。

異様だ。
機械の音はする。人の発する音だけが聞こえない。

怖い。

前から人の大群が押し寄せてくるが私はそれを避けることは無い。透けるのだ。
皆私が見えていないし、ぶつかることもない。

私はいったいいつからここにいるのだろう。

友達と渋谷で遊んで
流行りのスイーツとか、持ってるお金分だけ全部使って
それで…

そうだ、屋上だ。
嫌に空を飛ぶ時の感覚が残っている。
認めたくないが、確かめに行く他ない。
最後の記憶をたどってビルの合間を抜けるとそこには、

手向けられた素朴な花と、
頭に包帯を巻いて、痛々しいほどの傷がある
世界でたった1人だけの私の友達が泣きながらうずくまっていた。


_No.12 誰か

10/3/2025, 11:19:10 AM