aoi shippo

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 見上げた空には、星は見えない。

 暗い野原で、手の中のひしゃげた小さな塊を、引き伸ばし、ふうっと息を吹き込む。
 頬が疲れてくる頃、夜空に紛れるような色の、大きな風船が膨らんだ。

 その風船の糸の端に、銀色の短冊をくくりつける。
 誰も知らない、願い事を記したもの。

 そうっと、上に向かって手を離せば、やってきた風が、風船を空高くすくい上げた。
 糸の先で、短冊が踊るように回る。月の明かりを弾いて、星々のようにキラキラと光る。

 風船と短冊は、どんどん高く昇り、小さくなっていく。
 遥かな先で、たくさんの場所から放たれた願いが集まり、星明かりとなるように。



『銀の集まり』
(星空)

7/5/2023, 9:09:13 PM