Amane

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平穏な日常

 今朝も寝坊して、おにぎりを頬張りながら家を出た。幼馴染の海は、呆れたような顔をしていたけれど、それでも待っていてくれた。電車にはギリギリ間に合った。1つ逃すとしばらく来ないので良かったと思いながら空いている席に座った。私達の学校は少し遅く始まるのであまり人はいない。何もない日常。幸せだけど、どこか退屈な日常。電車に揺られていると、不自然に呼吸が乱れている人がいた。私は、彼に話しかけることにした。

彼が振り返った瞬間、数秒前の自分を悔やんだ。
どこかで非日常を求めたこと。それを、彼に期待したこと。非日常なんていらなかった。

お腹の辺りが熱くなって、わけがわからなくなって、立てなくなって、意識が遠のいて、やっと、死ぬんだって、私、死ぬんだって理解した。

海は、どうすることもできず、涙目で肩を震わせている。拳が強く握られていた。

平穏な日常が崩れ去る音がした。

3/11/2024, 3:22:42 PM