霧夜

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風がビュービューと吹き荒れて、枯れ葉から車や建物の残骸が、意気揚々と風に乗り回る。

砂埃が踊るように舞い、遠くの景色が全く見えない。

こっちに向かってくる嵐。
普通に飲み込まれて、死にそうだけど、それでいい。
寧ろ早く来いよとか思ってる。
まぁ叶わないかもしれないけれど。
一回でいいからこっから離れてみたいな。
なんて淡い期待を抱きながら、近づいてくる風の渦を眺める。


嵐が来ても、今日と今日とて、リンゴの木である僕は地面に生え続ける。


#嵐が来ようとも




7/29/2023, 10:25:46 AM