今日で6年を切った。
日記を見た。
分かってはいたが、『あと6年、時間がない。とにかく動け』と書いてあった。
過去の私に言われなくとも分かっている…。
むっとしながら夕飯にと野菜を切っていると、玄関の鐘が鳴った。
「誰だ、こんな日暮れに」
「ウィン、久しぶり」
姿を見せたのは幼なじみだった。
「ラコ!いや、ラコ女王」
「その呼び方言い慣れないんだからやめときなよ」
全く、と頬を膨らませる彼女。可愛い。
「こんな時間に遊びに来るって…やっぱ昼間は忙しいか」
「うんやばいよこれは。私病むね、絶対そうなる」
日々の王としての業務に追われているようだ。自分でその年で王を継ぐと決めていたのにやはりどこか情けない。
「でも、私がこの国を世界に認めさせるからね!大船に乗った気で待っててね」
「はいはいラコは口先だけは立派だから」
「あっちょっと!」
私は、どうせ抜け出してるんだからそろそろ帰れと彼女を追い返した。
「ふふっ」
笑いがこぼれた。
「待ってるだけなんて僕には無理だ」
だからこそ私の人生はあと6年を切った。
この国のために、ひいては大好きな君のために。
9/11/2024, 1:12:44 PM