たろ

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【誰よりも】

あなたへの想いは、誰よりも強いと自負している。
あなたの繊細な心を護って行くと決めた日から、ずっと傍にいると決意したのを鮮明に覚えている。
「少し休憩しない?疲れちゃうよ。」
誰よりも頑張るあなたの背中が、時折疲労の影を落とすことがある。
「あと、水分取ろうね?」
何となく、疲労が強い時や眠たそうな時が判るようになったら、邪魔をすると怒るタイミングまで判るようになった。
「…何でも、知ってるんだな。」
驚いた様子で苦笑いするあなたが、マグカップを受け取ってくれる。
「熱いから、気を付けてね。」
湯気が立つマグに息を吹きかけながら、蜂蜜レモンの白湯割りを啜る。
「…はぁ、美味しい。」
ふにゃりと顔を弛めて、ほっとした表情が見えた。
「甘さ、大丈夫?」
静かにひとつ肯いてから、ふうふうと息を吹きかけて、2口目を啜る音がする。
「ふふ、良かった。レモンは蜂蜜漬。」
柚子もレモンも、冬になると何とはなしに、つい色々と漬け込んでしまう。
「…もしかして、漬けてたやつ?」
すっかりモグモグと咀嚼しているあなたの口元が、躊躇いがちに止まった。
「そう。好きな時、飲んでいいからね。」
誰よりもあなたを気に掛けていたくて、誰よりもあなたを知っていたくて、ずっと傍から離れないように一緒に居る。
「レモンは何種類か漬けてたよな?柚子もあった?」
良く見ているなぁと思いながら、肯いて説明する。
「レモンは、砂糖と塩と蜂蜜。柚子は、砂糖と醤油と蜂蜜。もう少しで、美味しい柚子ポン酢の醤油が出来るから。塩レモンは、今夜使うつもり。」
嬉しそうに頬が弛んでいるあなたを見て、こちらも嬉しくなる。
「楽しみにしててね。」
誰よりも大切で、誰よりも大好きな、愛しいあなたの身体を作り、守るために。

さぁ、今夜は何を食べてもらおう。

2/16/2024, 10:34:15 AM