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溢れる想いは先輩に注がれている
日曜。私が大好きな先輩と会うこともない日。1人で散歩して1人で音楽を聴いて…でもスマホを開く度に見える待ち受けは先輩との2ショット。先輩の事を考えずにはいられなかった。私は先輩の夢を見たことがあった。私は先輩と仲が良くて話して笑って…そして先輩は私を抱きしめた。夢とはいえ、あの感覚が今も体に残っている。先輩の匂いや温もりはずっと私の体に残っている。目覚めた時、とても心地が良くて、自然と涙が流れていた。夢が示していたことは先輩への独占欲だった。私の想いは日々増していく。先輩に会った時、想いは溢れ出す。
好き…ただそれだけの事なのに、こんなにも胸が高鳴って熱が上がって。私はもはや先輩中毒だ。先輩がいないと生きていけない。この限界を知らない想いは一体、どうすれば良いの?

想い。それは好きじゃなくても可愛いとかカッコイイとか、そんな気持ちが溢れ出すこともあるだろう。
夏は冬に感謝、冬は夏に感謝ってこういうことなんだなと散歩をしながら実感していた私はあることを思い出す。
夏の話。私は少し遠くの神社の大祭があることを知ったその日。

「へぇ、みんな行くんだ。私、行ったことない」

そう呟いた時だった。

「じゃあ、俺と行こう。予定ないなら一緒に行こう」

幼馴染くんがしれーっと会話に交ざってきた。そして、断る理由もなかったため、本来の目的も忘れ、先輩探しの旅に出ることとなった。実際、私と女子1人を含んだ5人で行った。私も一応性格は男よりなため、女子がいると自然とリードしてしまう。はぐれないように差し出した手を友達と握り、歩いて回る。それを羨ましそうに見つめながら飼い犬のように後ろをついてくる幼馴染くん。男子と絡まないのかよと内心思いながら私は先輩を探していた。それから私たちは晩ご飯をそれぞれ買って食べた。私が買ったたこ焼きが余ったので、保育園からの友達(男)にあげようとすると、それもまた横からひょこっと出てきた幼馴染くんが食べてしまった。

「君さ、さっきもうたこ焼き食べてたよね!?」

「え、だってコイツがくれるって言ったから」

本当に子犬のようだ。どんだけ飼い主を慕っているんだ。それから定番のおみくじ。私は中吉だった。恋愛は告白すると良い。先輩にだったら何度でも告白できるしと思っていた。

「恋愛運最悪〜。俺の恋叶わないんだってさ…」

「どれどれ……これは…残念だね」

と2人で笑いあっていると、偶然出くわしたクラスメイトに

「あれ?ここってもう出来てるの?」

と勘違いされてしまった。確かに幼馴染だけど、そんな風には思われたくなかった。
とそんな事があったのだ。私が幼馴染くんに溢れる想いはきっと「可愛い」だけなのだろう。もし、恋愛感情が出てくるとするならば、その時はきっと裏でほかの何かも溜まっていくのかもしれない。

2/5/2023, 12:19:33 PM