名無夏

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怖かった。
もう二度と貴方と会えないんじゃないかって、話せないままお別れしちゃうんじゃないかって、不安だった。
貴方の両親が厳しいってことは知ってる。それがどのくらいのものなのかは知らないが、勝手に他所の家の教育方針に口は出せない。だから今回の集まりも来ないのかなって思っていた。
それなのに___
貴方はヒーローみたいに現れて、ただ自由に過ごしているだけなのに場が和んで、ひとりきりだった私にも声をかけてくれて。私は"くだらない"なんて言って突っぱねたけど、本当は嬉しかったよ。
皆で夜ご飯を食べようってなったときも、きっと普段だったら来るはずなかったのに全力で親を説得なんかしちゃって。らしくない。
席に座っていつもみたいにいじられてはそれに反応して強気に突っ込んで…夢みたいって思ったんだ。
貴方がこの場所にいるなんて、時間を共有できていることに胸が締め付けられた。貴方は"気持ち悪い"なんて言うけど、嘘じゃないよ。

これから先は貴方にとって、きっと辛く苦しい道のりかもしれない。でも貴方の結末を"BAD"で終わらせる訳にはいかない。
だって貴方は本当に素敵な人だから。
不条理だなんて叫ぶ情けない一面も、男の子らしい時も、誰かと笑っている顔も。
貴方はただのクラスメイト。たった一年間だけの、大切な人。
いつかまた会えたとき、貴方には胸を張って言ってほしいんだ。
"幸せだよ"って。

3/29/2024, 4:17:59 PM