ところてん

Open App

「ねーねー、一緒帰らん?」

そう言って声をかけられた。

「うんいいよー」

そう言って、鞄を背負い着いて行った。

「なあ、なあ、俺ちょっとイラついてんだよねー今日。だからさぁ、ストレス発散としてよぉ、盗みしようぜ!最高にスリルがあっていいだろぉ!?」

急にそんなこと言うから驚いた。

「え、ちょっ、と」

「な、行こうぜ!」

強く手を引かれる。ほどけない。

「ダメだよ!!!」

思い切り、手を振る。

「いった…なんだよ!ノリ悪ぃな!!」

怖い。でも勇気を振り絞らなきゃダメだった。

「ダメ…!本当に、イライラしてもそんなこと絶対にやったらダメ!お願い!」

「…なんで止めんだよ、おい!」

「〝友達〟だからさ!!!」

「…!」

彼は黙った。もう何も言えない。僕は、伝えたいことは伝えた。


「…ご、ごめん…止めてくれたのに…酷い態度取って…」

「…大丈夫。絶対やらないで。…ねね、今からゲーセンに行こうよ!パンチングマシーンで勝負しよう!」

彼は目を見開く。そして口元を歪ませて答えた。

「…おう!俺に勝てるかなあ?」

「へへ、勝ってみせるよ!」


――――――今日も、僕の〝友達〟は楽しそうだ。

10/25/2023, 12:36:10 PM