「い、一時間遅れる!?」
大勢の人で賑わう満開の桜の下。
男はスマホに届いたメッセージに落胆した。
今日は友達数人で花見、のはずが急用やら何やらで欠席か遅刻者が続々。そして今ここにいるのは男と親友のみ。
「まーた待たなきゃならんのか。朝からの場所取りで待ちくたびれたよ……」
うなだれる男の横で親友はごそごそと買い物袋をあさり冷えた缶を取り出し男に差し出す。
「俺とお前、二人っきりの花見も悪くないと思うが」
「二人ぼっちだろ」
コン、と互いに持った缶同士軽くぶつけあった。
親友はたまに変なことを言ってくる奴ではあるが、あれは親友のもつ独特な言い方なのだと男は特に気にしていない。
しかし今日ばかりは二人っきりではなく「ぼっち」であると思った。
3/21/2024, 1:09:01 PM