霜月 朔(創作)

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忘れられない、いつまでも。


折角のいい天気の休日なのに、
何だか、外に出掛ける気にはなれなくて。
最近嵌っている、紅茶でも淹れて、
偶には、ゆっくり読書でもしようかな。

そんな事を思って、何気なく手にとった本。
お気に入りの本だったけど、
もう長い間、開いてなかったな。
そう思って、パラパラとページを捲る。

本のページとページの間に、
一枚のメモが、挟まってた。
メモには、懐かしい彼の書いた文字。
それを見た途端、
私の胸はズキッと痛んだ。

私のお気に入りの本。
彼にも、貸した事があったな。
それは。
まだ、彼と私が恋人だった頃…。

彼はいつも私の隣で、
優しく微笑んでくれていた。
そんな、優しく、あたたかい記憶。
私が、どんなに戻りたいと願っても、
もう…戻れない、懐かしい日々。

彼は、二度と。
私を見てはくれないだろうけど。
だけど、彼への想いは、
忘れられない、いつまでも。

5/9/2024, 4:48:12 PM