貝殻って色んな形あるよね
学校の帰り道にぼそっと呟くように彼女は僕に言った。
海辺に近い学校で当たり前のように一緒に帰る彼女。
僕の片思いの相手だ。
これは穴が空いてるよ、ちょっと痛そう
笑顔で貝殻を拾っては僕に感想を言う。
僕は特に何も言う訳でもなく、波と彼女の音を心地よく受け入れる。
いくつか拾ってきた物を彼女が僕に渡す。
両手で受け取る僕を見て彼女はまた笑う。嬉しそうな幼いえくぼがたまらなくて、慌ててポケットに詰め込む。
そろそろ帰ろう、と足早に進む。
ポケットの貝殻の数を感触で数える。
1、2、3、………あと8個。
今まで貰った貝殻の数とあわせてみる。
あと8個受け取ったら彼女に告白をしよう、なんて。
もうそろそろ片思いから抜け出す準備をしなければ。
そう意気込んで帰り道を進む。
後ろで彼女は小走りで隣に並ぼうと頑張ってる。
そんな姿を見て、僕は歩幅を小さくする。
明日も晴れるといいね、彼女は笑う。
僕もつられて笑う。
明日も晴れますように。
9/6/2023, 6:46:42 AM