Alan

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善悪


全部が苦しくなった。
何が良くて何が悪いのか私にはもうよくわからない。

“善い“とされていることをすれば邪険に扱われ
“悪い“とされていることが日常で

私の世界は真っ暗になっていった。


「ねぇ、私、どうしたらいいんだろう」


「あー_…。
まぁ、とりあえず、俺のパン食うか?」


誰もいないと思っていたというのにそこにはその人がおり、その人は私を見て気まずそうにしていた。

「っ、えと、その、どこから」
「お前が着替えた終わりくらいだな。」
「……。」

「冗談だって。お前、優等生だろ、俺のクラスでもたまにお前のこと聞くよ。」

“優等生“
その言葉に虫唾が走り、私は思わず目を逸らした。

「“神は死んだ“」
「え?」
「ニーチェの有名な格言だよ。
まぁかといって俺はそんなにニーチェの言葉も本も知らねぇんだけどな。」

その人は持っていたジュースを一気に飲み干すとじっと私のことを見つめた。

「善悪は絶対ではなく、誰かが作った価値だ。
だから、俺はお前のこと正しいとは思わない」

「……。」

「間違いだとも思わない。
ただ、……なんでそんな泣きそうな顔してんだ?」

「ううん、なんとなく、わかった。」
「……そうか。」

その人は安心したように微笑み、私の席の隣の人の机の中に、何の躊躇もなく慣れた手つきでパンのゴミを入れれば何事もなかったように教室を去って行った。


「……え?」


4/26/2026, 12:22:47 PM