あなたが誰かに優しくする度に、私の心に雫が落ちる。
黒々としたそれは器の水と混じり合って、そうしていつしか見えなくなる。
でも決して消えたわけじゃない。私の心は少しずつ、少しずつ、そうして濁っていく。
一滴、また一滴と落とされる雫の、その色はその度に違う。それでも濁ることには変わりがない。混ざり合った色はいつしかどぶ色へと近づくのだろう。こんな私にはお似合いだ。
それなのに、そんな私なのに、あなたは優しくしてくれる。
私の心に、雫がまた一つ。
あなたの一挙一動が、私の心に波紋を作る。
このままいけば、いつしか何かが溢れ出す。器に収まりきらなくなったものが、きっと溢れてしまう。
その瞬間をただただ恐れているのに、なのにあなたから離れることができないなんて。
愚かな私は、今日も心を揺らす。
ほら一滴。また、雫が落ちた。
4/21/2023, 10:24:47 AM