ミキミヤ

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三連休の最終日。僕は君とふたり、遊園地に来た。
1日過ごして夕方になった頃、僕らは観覧車の列に並んでいた。綺麗な夕日が拝めると、夕方の観覧車はとても人気で、長い列を作っていた。
10分程並んだだろうか。やっと列の先頭へやってきた。

「わー、やっと乗れるね!」

君がはしゃぎなからゴンドラへ乗り込む。頷きながら、僕もそれに続いた。


ゴンドラは高く高く上っていく。
君は外を忙しなく見回して、昼間に乗ったアトラクションを見つけたり、小さくなっていく人の影を見下ろしたり……僕にも指を差して教えてくれる。
僕は君が指差す方を見て相槌を打ちながら、上昇していくときを楽しんだ。


7分ほど経って、ゴンドラはてっぺんへ上ってきた。外からは、強い西日が射し込んでいる。
ソワソワとあちこちを見ていた君が、そちらを向いて夕日に釘付けになっていた。僕もそんな君越しに、燃えるような夕日を見た。

「綺麗な夕日だねえ」目を細めながら君が言う。
「そうだねえ」と、同じ仕草で僕も返す。

たったそれだけのやりとりが、とても心地よかった。



暮れゆく日と共に、ゴンドラは下っていく。
1日の終わりが近づく。今日、君と過ごせる時間もあともう少しだ。とても名残惜しい。
そんなふうに思っていたら、ふいに君が窓の外から視線を外し、こちらを振り向いた。

「また一緒に、観覧車に乗ってくれる?」

薄紅の空を背景に、上目遣いに君が言う。
君も同じ気持ちだったのだろうか。そうだとしたら、とても嬉しい。

「もちろん」

僕が答える。君は顔をほころばせた。
寂しく沈みかけていた僕の心は、君の笑顔で浮上した。

10/14/2024, 12:05:57 PM