極解の魔法使い

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お題『仲間になれなくて』

気付けば、一人ぼっちと言う事は割とある。
新学期の友達作りしかり、
グループワークのグループ分けしかり、
修学旅行とかのグループ分けしかり、
・・・・・まあ、新学期以外は余った人間同士で無理矢理グループと言う仲間の枠に入るのだが、コレが割と(短い期間言えども、だが)仲間意識を持つと言うらしい。
が、残念ながらそんな時でも私がその余り同士の彼らに対して仲間意識を持つ事は無い。
例え、同じ好きな物や、得意な物があったとしても「それが何だ?」程度にしか感じられないと言うのもあった。
そもそも、目立たず悪さをしなければほって置かれても問題は無いし、それが不便と感じた事が無いから「仲間」と言う物に魅力すら感じないので、私自身、別にどうでも良かった。
今こうして振り返ると、その自分から疎外して行く姿勢が一番の問題なのだろうが。
そう言う私自身の問題もあり、私にとって「仲間になる」と言う事は無かった。
なんなら、『一生』仲間なんてものにならないだろうとすら思っていた。
しかし、そんな私をほっておかない人物が突然、目の前に現れた。
その人物は私と言う存在を認識するや否や、一方的に話しかけてきた。
「それは何の本だ」「委員会は何処だ」「部活は何だ」「趣味は無いのか」「誕生日は何時だ」「得意科目は何だ」等等・・・・・
と、まあ、それこそマシンガンの様に話すものだから、最初は無視しようとした。
そしたら向こうは飽きるわけでもなく、私が興味を持ちそうな話を持って来た。
仕方なく、それ以降はその人物と話す様になった。
その後のある日は無理矢理、私を連れ出して色んな人達に会わせてきた。
会わせた人達は皆、その人物の仲間なのだろう。
その人物と同じ様に話しかける人間もいれば、逆にしっかりした人物も居て・・・・・皆、会ったその日以降、私を見かけたら声をかけるようになった。
そうして、会う回数が増えていって・・・・・
気付けば、私もその人物達の仲間になっていた。
気付いた時に戸惑ったが、その人物は
「まあ、別に最初はそんなもんさ。今までそう言うのした事無いんだろ?なら、コレから慣れていけばイイ」
と言った。
そうして、その人物達との付き合いは10年以上にもなった。
未だに、私は仲間に慣れなくて。
未だに、私から仲間になれなくて。
でも『それで良い』と言ってくれる人間は、10年以上前に比べたら増えていた。
コレが『仲間』と言う物なのなら、
昔の自分へ、存外悪くない事を伝えたい。

By ある外科医の飲みの席での独白

9/8/2025, 6:07:51 PM