白糸馨月

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お題『私の日記帳』

 母から日課にするようにと渡された日記帳に日々の思ったことをいろいろと書いている。だけど、最近は学校生活のことなんて書くことが同じでつまらなくなってきたので、どうせならと、最近ハマっているコンテンツの推しを主人公にしてお話を書くことにした。ジャンルはBLだ。
 推しにはライバルとなるキャラクターがいて、公式ではお互いにバチバチしあっているけど、その関係性がエモくて興奮するから萌えるし今こうして形にしてしまっている。
 そうすると日々、日記を書くのが楽しくなってしまった。
 ある時、その内容が母にバレてしまった。べつに人の日記を読むという無粋なことはしない。ただ、日記帳を開きっぱなしにしていた私が悪いのだ。それがちょうど洗濯物を置きに来た母の目に入ってしまった。
 あわ、あわと震える私を横目にして、母は息をつくと
「ついてらっしゃい」
 と私をうながした。
 部屋から出て、案内されたのはうちのわりと大きな本棚だ。そのわきに鍵穴がある。母はそこに鍵をさしこむと、本棚をスライドすることができるようになり、そこには大量のうすい本が置かれているではないか。
「ママ?」
「勝手に見たのはごめん。だから私も、と」
「いや、あの……」
「どうやら血は争えなかったみたいね」
 そう言って母は謎にサムズアップした手を私に向けてきた。私は母も腐女子であった事実に困惑しつつ、またサムズアップしてなぜか母と乾杯みたいなことを交わした。

8/26/2024, 11:39:49 PM