まかろん

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 襟尾は片手にビラを持ってデスク横のソファで寝転がっている津詰に近寄った。

「ねぇ、ボス、さっき昼飯食べに外でたら、こんなチラシ貰っちゃって、見てくださいよ」

「ん、見せてみろ、……なんつうもん持ってきたんだだ、こんなでっかいプリンアラモード見たことないぞ。というか、甘いもん食べたくなってきちまった」

津詰はそういうとポケットに入っていた飴を舐め始めた。

「ボス、やっぱり甘いもの好きですよね!今度食べに行きましょ!」

「俺を早死させたいのか。……まぁお前さんがそんなに行きたいなら、ついて行ってやってもいいぞ」

「またまた〜、ホントはボス、食べたいんでしょ」

「そんなことはないっ!絶対だ」

 津詰の見え見えの逆張りは襟尾には当たり前にお見通しだった。

「でも、最近ボス、ちょっとお腹周り、大きくないですか?」

 襟尾は津詰の耳元に口を近づけて言った。

「ギクっ」

「セルフ効果音?そんなに気にしてます?」

「痛いところ突くなよー、俺だって甘いもん食べないように、我慢しようとしてんだ」

「しようとしてるだけですよね?……じゃあ、こうしませんか?これ、売ってる店までここら辺からちょっと離れてるじゃないですか。一緒にチャリ漕いで行きましょうよ」

「自転車……最近走るだけでも辛いってのによぉ、自転車なんて、無理に決まってるんだろ」

「チャリ漕いだら、お腹、キュってしますよ」

「うっ……だぁ!しゃあない!エリオ、チャリ漕ぐぞ!」

「そう来なくっちゃですよ!ボス!」



「気持ちいいですね!ボス!」

「エリオぉー、待ってくれぇー、若いやつは早すぎんだよぉ」

「ボスの耄碌もだいぶキテますね、こりゃ若返らせなきゃ」

「俺は、まだ、耄碌なんか、して、ねぇぞ……」

「もうちょっとで着きますよ、頑張ってください!」

8/14/2024, 11:51:56 AM