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 世間では、何の変哲もない平凡な一日だっただろう。

 だが、自分は違う。正確には、自分と、もう一人。

 初めて君と目が合った時の、あの胸のときめき。

 どこか初々しい、握る手と手が震えていたあの日。

 何気ない会話も、君が隣にいるだけで、どんな快楽にも勝る喜びとなった。

 今日は、特別な夜。

 日々を過ごすうちに、目が合っても逸らされ、ため息をつかれるようになった。

 握るのは、スマホの方が多くなった。

 たまに話を振っても、無視される。

 一体、どこで間違ったんだろう。

 自分に至らない点があったのだろうか。時間が解決してくれるのだろうか。

 そんな風に悩んでいた毎日すら、ちっぽけなものに思えてくる。

 今までの人生で一番きれいに輝いた月が、ギラリと鈍く銀のシャベルを照らす。

 世界一大好きな君を、埋めた日。

1/21/2023, 11:01:36 AM