この状況を変えようと思わないのか?
現実とお前の気持ちを切り離して考えてみるんだ。
それから整理してみる。
必要なものと、欲しいものは別なんだ。
人を羨むな。
お前はお前しかいないんだ。お前にしかなれないのは分かるな。
羨むヤツになりたいか?なりたくないだろ。
憎むアイツになりたいか?なりたくないだろ。
お前はどうしたい?
春の陽気を感じて、花を愛でて、風を受ける。目をあけろ、空はこんなにも広いんだよ…。
連れてってやる。私がいるぞ。
「それでいい」
幼子を取り敢えず御者に任せ道を戻ると、家で待っていたはずの男から、義理程度の拍手が送られた。
「誘い文句お見事でした。殺し文句と言ってもいいぐらいでした。頑張りましたね」
影から見ていたな、コイツ。
後ろから私を軽く抱きしめてくる男が言う。
「いやぁ、あれだけ言われたら救いの神にも見えちゃうかも…。惚れますね」
めずらしくからかう様な口ぶりだ。
私は、でっかいこいつの重みを感じながら、間を持ってから呟く。
「お前が前に私に言ってくれたんだよ…」
「ぅえっ… 僕、ですか?言いました?」
そーだよ… お前の真似したんだよ。だからころりと惚れちまって手放せなくなったんだよ。
「自分の発言に責任持てよ…」
「いやぁ…覚えてません…」
最後はもそもそと口のなかで喋っている男に、私は連戦でへろへろの身体を預けた。
「私は、お前が必要だ。望むなら連れてってやる」
「分かっていますリーダー。連れてって下さい。地獄までもお供します」
抱きしめられて安心するのってなんでかな。
4/4/2026, 10:52:03 PM