どう考えても特別な夜でした。
『特別』と言っても、私の日常の端くれにおけるつまずきのような物でしたが。
その夜、兄は『自殺しようとして辞めた事がある』と突然言いつけるように私に言いました。私は言うまでもなくぼーっとしていて、
『へぇ。』と、一言だけ置くように呟きました。
家の3回のベランダの縁にたってみたそうで、なんだかんだでやめたそう。
普段なら私の理解の外側にいる意味のわからない人間としか思えずにいた兄という存在に対してすこし、同情したことが、どう考えても特別だったのです。
私も、自分の腹に包丁を突き刺そうとしたことがあります。
できませんでした。
情けないのでしょうか。そんなことも無いのでしょうか。誰かが私の心の冷たいのを取り除いて寄り添うように、慰めてくれるのでしょうか。誰かが自分で出来ないならと、代わりにやってくれるのでしょうか。
そんなわけないと、私が怖く私を睨みつけるのです。
ならどうすれば良かったのでしょうか。
お題「特別な夜」
1/22/2024, 9:10:34 AM