『秋風』
秋風に吹かれて、思いきってボブにした髪が揺れる。
まだ慣れないその長さは、おはよー!と元気に隣に並ぶあなたの好きな長さだ。
「髪切ったんだね」
「うん。ちょっとね」
あなたが好きだって言ってたから、と言う言葉は呑み込む。私にそれを伝える勇気はまだない。
「似合ってるよ」
「…ありがと」
待ちわびていたけど、いざ言われると思ったより嬉しかった言葉に、顔が紅くなるのを感じる。
大丈夫かな。ばれてないかな。
そんな私の心配なんて知らないあなたが今日の授業の話なんかをし始める。
相槌を打ちながらちょっとは意識してくれたかな、なんてあなたを見上げた私に微笑みを返すから、もう完全にノックアウトされてしまった。
11/14/2024, 10:18:23 AM