最後のページをめくり本を閉じる
心はまだ帰ってこないまま
服を着替えて布団にもぐる
目を閉じると海が見えた
行ったことのない世界の
海の青さをよく知っている
潮のにおいも風の音も
まだ鮮やかに思い出せる
晴天の日に白い帆はまぶしく光り
嵐の海を越えて船は行く
あのとき君は何と言っただろうか
手をのばしてページをめくる
言葉のひとつひとつは
私に染みていって
深いところで灯に変わる
君の笑い声をたしかに聞いたのだ
君が私のこと知っている気がするのだ
心はまだ帰ってこないまま
電気を消した暗い部屋で
もらった灯が熱く燃えている
夜を照らして熱く 熱く
燃えている
「眠れないほど」
12/6/2023, 9:53:31 AM