この世には2種類の人間がいる。
天才か、凡人か。
「あーはっはっはっは!!どうだ!今回の定期テストもオール100点さ!」
天才である彼は高らかに笑いテストの結果を私に見せつけた。一方で凡人の私は苦笑いをするしか無かった。
毎回毎回、テストがある度に100点の結果を私の元へ見せに来る彼。席も近ければ同じクラスでもない私にこうしてテストの結果を自慢しに来るなんて、よっぽど暇なのだろう。
「さぁ、君もテストの結果を見せたまえ。ま、概ね予想はつくがね」
「うーん。今回はちょっと数学が難しかったかな」
私は自分のテストを机の上に広げる。テストの点数はどれも60点や70点等の真ん中よりもちょっと上の点数。いや、平均点からすると高い方ではあると言いたい。
「なんだ。相変わらずつまらない数字だなぁ〜?やはり君はどこまでも平凡で凡庸で凡人だ!!!!」
3連続凡!全て同じ意味だが。
というかそこまで凡凡言われたら少し怒りが湧いてくる。私は明らかにムッとさせ、テストを机の中へしまう。少し乱暴に入れたせいか、テスト用紙がくしゃりと折れた音がした。
「私が平均的な女だってことは十分にわかるよ。何?そんなに下を見て楽しいの?」
「いいや?僕にそんな下劣な趣味は無いね!」
じゃあどうして。私がそう聞くと彼は頬を赤らめそれでいて堂々とした態度で言い放った。
「優越感さ。君が僕に対する劣等感を見せてくれている時、僕は最高に優越を感じそして興奮する!!」
最低だ。私は思わず立ち上がり彼に向かって平手打ちをしようとした。
だが、呆気なく平手打ちをしようとした右手は彼に掴まれ彼の方へと引っ張られる。彼の胸元に倒れ込みそうになり、私は左手を机につきキッと彼を睨んだ。
「あぁ……その顔だよ。その顔をよく見せてくれ」
彼は目をかっぴらきながら、顔を近づけニタリと笑う。
手を掴まれている私は逃げることも出来ず、彼の狂気に恐怖を感じながらも頭には1つの疑問が浮かんで消えなかった。
優越感に溺れる彼は、本当に天才だったのだろうか?
7/13/2023, 2:29:21 PM