喜村

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 私は、老人に拾われた。
雨が止んで、さんさんと降り注ぐ太陽の下、干からびた何かに私はなりかけていた。
 そんな時に、老人に拾われた。助けられた。
 飼い主に捨てられ、カラスとの戦いで痛み分けとなり、雨が体をうちつけ、今に至る。
 老人は、私の顔をふいてやる。目やにがついていたが、それを綺麗にふきとってくれた。
体にもたくさんのノミやらがついていたが、薬か何かでふきとってくれた。
 この人は、いい人だな、と、私は思った。
 いや、油断してはいけない。いつまた捨てられるかもわからないからだ。
 私は体を震わせて警戒した。
「よし、じゃあ、名前を決めましょうかねぇ」
 老人は、おもむろに余り紙とペンをだす。
「チビ? いや、でも大きくなるかもしれないわよねぇ。 クロ? んー、見たまんまってのも面白くないわねぇ」
 名前の候補を出しては、斜線をひいて消す。
そして、あぁ!、と、老人は思い出したかのように言う。
「雨の日に出会ったから、アメ!」
 どうやら、私の名前が決まったらしい。
私の名前は、アメ。今日、アメ、という名前をもらった。
 雨の日に出会ったが、窓からは暑いくらいに太陽の陽射しが差し込んでいた。


【私の名前】

7/20/2023, 12:23:24 PM