【雨と君】
放課後の教室。
外は雨が降っていた。
突然降りだした雨。
二人とも傘を持っておらず
仕方がないので教室でやり過ごすことにした。
「雨、止まないね」
「そうだね」
「もしこのまま止まなかったらどうしようか」
「えっ?」
「君ならどうする?」
「そんなの…」
困ってしまう。
「まぁ、そんなことあるはずないんだけどね」
「うん…」
そう言って君は窓の外を見上げる。
相変わらず外は雨が降っている。
「このまま時が止まれば良いのに。
そうしたら…」
「?」
「君とずっと一緒にいられるのにね」
「!?」
思わず、椅子から落ちそうになった。
そんことあるはずないのに。
君は笑うとまた窓の外を見上げた。
「それって…」
「あっ」
「えっ!?」
「雨、止んだよ!」
そう言って君は立ち上がる。
僕もつられて窓の外を見た。
さっきのどしゃ降りが嘘のように
空は晴れやかな光が降りていた。
「…」
これじゃあ、本当に時が止まったみたいだ。
明後日にはもう君はここにはいない。
両親の離婚で君は遠くに転校してしまう。
「…手紙を書くよ」
「!?本当に?」
「うん。僕も君とずっと一緒にいたいから」
「!?」
そう返せば、君は顔を紅くして照れ臭そうに笑った。
9/7/2025, 10:26:04 AM