つつも

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【スマイル】

私のクラスにはいつも一人でいる女の子がいる。去年の夏頃に転校してきたらしいが、クラスに馴染めず孤立してしまったようだ。
小学4年にもなると、クラス替えをしてもグループができてるし輪に入りにくくなる。

私はその子が少し気になったが、今の安定したグループに変化があるのを恐れて話しかけられないでいた。
その子はいつも無表情で、国語の音読の授業以外で声すら滅多に聞かない。休み時間は隅で本を読んでいた。

ある時、その子に話しかけるチャンスが訪れた。席替えをして一緒の班になったのだ。私の学校では、放課後に班に別れて掃除をする。サボる男子を注意しながら、その子に話しかけてみた。

「男子って自分勝手だよね。掃除終わらないじゃんね」
「そうだね。あまり酷かったら先生に相談してみようか?」
意外だった。急に話しかけられて困るかなと思ったけど、普通に会話ができたと私は驚いた。

「転校してからいつも一人でいるよね。嫌じゃないの?」
「別に。最初はみんな話しかけてきたけど、うちはお父さんいないから、だからみんなだんだん避けていった」
よく分からなかった。周りと違うというのはそんなに変なのかなと、その時初めて気づいた。
だから、勇気をだして言ってみることにした。

「明日さ、私たちと遊ばない?」
正直、友達はこの子を誘ってどんな反応するか分からない。でも、この子とはなんか仲良くなれる気がした。直感ってやつ。
「いいの?」
私が頷くと、その子の表情が明るくなった。
初めて笑顔を見た。本当は寂しかったんじゃないかと思う。新しい環境に馴染めず、ずっと寂しさに蓋をしていたんだと気づいた。
「ありがとう」
その子は初めてみる笑顔で私にそう告げた。

2/8/2024, 3:54:50 PM