手を取り合って
「何で?別にいいじゃんこんぐらい!いちいち文句言わないでよ!」
「はぁー?さりんが悪いんでしょ?
こんな作業ぐらい丁寧にやってよ!」
私・さりんが親友の夏奈(なつな)と喧嘩したのが一週間前だった。ささいなことだったけど、お互いにムカついてお互いに謝らずにいたら一週間が経っていた。
今日もお互い素直になれず私達は別々に帰る。
早く仲直りして前みたいに戻りたいけど、なかなか素直になれない。
でも、たぶん夏奈も私とおんなじふうに思ってる。
私と夏奈は小学校の頃からずっと一緒だった。
だから、何となくわかるんだ。
私達は考えが似てるから。
だからそんな似たもの同士私達が喧嘩したのは久しぶりだった。
仲直りしたいな。
そう思いながら、1人家に帰った。
「あなた達をこの中に閉じ込めました。この中から抜け出したければ、問題に答えながらこの世界から抜け出しなさい。しかし、さまざまな試練が待っています。
これを受けるか受けないかはあなた達次第ですか、受けなかったらこの中から一生出ることは出来ません。
どうしますか?」
突然、謎の男がそう言った。
どういうこと?
私はさっきまで家に帰る途中で道を歩いていた。
これは夢なの?
びっくりしながら周りを見渡すと隣に夏奈がいた。
なんで、夏奈がいるの?
「どうしますか?この試練を受けますか?受けませんか?」
私が混乱しているのは無視して謎の男はそう告げる。
「何ですかあなた、ここはどこ?
もとの場所に私を返して!」
夏奈が焦った顔で言う。
「いいえ、返すことは出来ません。
あなた達に残された選択肢は試練を受けるか受けないかのどっちかです。そして、受けるとしたら2人一緒にです。手を取り合って進むのです。」
意味がわからない。
しかも、今夏奈とは喧嘩中だしすごく気まずい。
「どうすんの?こんなとこ意味わかんないけど、ここから出してもらえるには試練を受けるしかないし。しかもさりんと一緒なんて上手くできるか不安しかないけど。」
何よ。その言い方。
一緒に行動しないとなら今だけでも仲良くしようなんて気持ちないの?
ムッとして言い返す。
「別に、出れないならやるしかないでしょ。
早くいこ。」
私もそっけない言い方になってしまった。
隣を見ると、夏奈もムッとしていた。
「そうね。じゃあ、受けます。この試練。
何すればいいんですか?早く帰りたいです。」
夏奈がそういう時男は話した。
「あなた達はまずこの先にある扉を開けて5問の問題を受けて下さい。
しかし、一問間違えるごとに問題は難しくなりそして追い手がつきます。その追い手に捕まったらまたこの場所から一からのスタートとなります。」
嘘!?あまりにもそれは厳しすぎない?
しかも追い手がつくなんて・・・・・・・・。
よりにもよって喧嘩中に夏奈と一緒に行動なんて。
「では、スタートです。お気をつけていってらっしゃいませ。」
よし。とにかく行こう。
と、私が決心した頃には夏奈は既に扉を開けてこっちを向いていた。
早くしろと言いたげな顔をしてこっちを見ている。
さすがに何年もしていなかった喧嘩の溝は深いようだ。
喧嘩する前はこんなんじゃなくて、喧嘩なんて考えられないくらい夏奈のこと大好きだったのに。
少し切ない気持ちになりながらも扉の方へ向かう。
これから私達2人でやっていけるかな?
不安を抱きながらもその扉を潜った。
続く
7/14/2023, 11:31:17 AM