「しんじゃった、おとうさんにもみてほしかったな。」
ヨウくんは、誰にも聞こえないように、呟きました。
ヨウくんは、絵を描くのが大好きです。
今日も朝からずっと部屋に閉じこもって、ひたすら絵を描いていました。
気が済むまで絵を描くと、一緒に住むおじいちゃんやおばあちゃん、お母さん、お姉ちゃんに絵をみせてまわります。
今日の絵は、お父さんが生きていたころに、家族で行った海の絵でした。海辺でみんな笑顔で砂のお城をつくっているところで、ヨウくんの大切な思い出です。
ヨウくんのお父さんは、1年前に病気で亡くなりました。ヨウくんは悲しくて悲しくて仕方なかったけれど、お父さんは天国にいるんだ、と自分に言い聞かせて寂しさを紛らわせていました。
でも、今みたいにお父さんを思い出して、胸がきゅっとなることがあります。もう会えないのは分かったけど、やっぱりまた会いたいのです。
ヨウくんは気づきません。
本当は、ヨウくんのことをお父さんはずっと見ていることを。
ずっと側で和やかにヨウくんを見守ってくれていることを。
お父さんの想いはヨウくんにはハッキリとは伝わりません。
まだ幼いヨウくんにはうまく届かぬ想いかもしれませんが、ヨウくんが優しく包まれ、ほっとできる感覚のとき、それはお父さんからの想いなのです。
4/16/2026, 9:31:17 AM