(この心臓よ、どうかもってくれ!)
着慣れたセーラーの上から呼びかける。
梅の花が綻び始めた春先、胸ポケットには優しくて暖かな色の造花が顔を覗かせている。
左手には先程貰ったばかりの小さな花束が握りしめられている。
3月も終盤に相応しい陽気が射し込む教室はさながらスポットライトの当たる舞台である。
出演は私と彼、2人だけ。
3年間抱え込んだこの想いをとくと食らうが良い。
さぁ、早く幕を下ろすのだ。
私は大きく息を吸い、目の前の彼に、、、
……少しだけ、ほんの少しだけ、春らしい甘い香りが、窓から流れ込んだような気がした。
春は歓びの季節だと、私は思う。
<My Heart>
3/27/2024, 3:42:19 PM