—優先順位—
ある家に住む親子のお話。
「おれ、今年はたくさんお母さんのことを手伝うって決めたんだ」
年の始めの朝、男の子は胸を張って言いました。どうやら今年の抱負を決めたようです。
「あら、嬉しい。じゃあまず、洗濯物を干して貰おうかしら」
お母さんはにっこり笑って言いました。
「わかった!」
男の子は洗濯物を持って、ぱたぱたと二階に駆け上がって行きました。
「終わった!」
思っていたよりも早く戻って来ました。お母さんは続けて、また頼みます。
掃除、ご飯の支度、買い物などなど。
男の子は一生懸命働きました。けれど、だんだん足取りが重くなってきたようです。
「お母さん、疲れたよ……」
「ありがとう。でもね」お母さんは優しく訊きました。「これを毎日続けられそう?」
男の子は少し考えてから、顔を上げました。
「大変だけど、おれかんばるよ!」
その目は、まだまだ元気いっぱいでした。
「じゃあね」お母さんはもう一つ訊きました。「勉強も一緒に頑張れる?」
その途端、男の子の体は固まって動かなくなりました。
「去年、宿題を忘れて、たくさん先生から叱られたでしょう?今年は大丈夫かしら?」
「……」
男の子は俯いたまま、黙ってしまいました。
「まずは『宿題を必ず先生に出す』、それを今年の抱負にしなさい。それができそうなら手伝ってちょうだい。わかった?」
「……はい」
小さな声で返事した後、とぼとぼと自室に戻っていきました。
それからというもの、男の子が家事を手伝う日はついに来ませんでした。
でも、宿題を忘れることはもうなくなりましたとさ。
お題:今年の抱負
1/3/2026, 4:15:30 AM