『バカみたい』
他所の国で傭兵として従事していたことがある。重篤な犯罪者でない限りは雇うというスタンスのためか世の中にうまく適合できないハジキ者ならず者も多く、戦う以外に能のない不器用な人間が集っていた。
同僚たちは不器用すぎるがために生きるのも下手くそだった。いつ死んでもおかしくない死線を共にくぐり抜けてきたというのに些細なことのケンカの度が過ぎたり、彼女にフラレて失恋して立ち直れなくなったり、突然ビルから飛び降りたりとバカみたいな理由で命を落としていった。虚しさを感じないわけはなく、ほどなく除隊した。
自国の平和な生活の中に表立った戦いの日々はない。けれどバカみたいな理由で犯罪に手を染めたり命を落とす奴がいるのはあちらとそんなに変わりはない。何が分かれ目なのだろう。考えても答えの出ない問いを幾度となく思ってしまう。
3/23/2024, 2:33:34 AM