お題【沈む夕陽】
タイトル【言いたかったこと。】
いつもの屋上。
いつもの景色。
いつもの二人。
変わらない日常に飽きていると理解したのは、
随分と前の事だった。
いつも通り朝6:30に起きて、
朝ごはんを食べて、
みんなと同じ制服を着て、
みんなと同じスクールバックを持って。
世間に合わせて、嫌われないように、置いてかれないように。
俺は別に嫌われてもよかった。
ただ、世間の集団圧力に負けて、つまらない日々を送っている。
でも、今はつまらないとはあまり思わない。
だって二人がいるから。
部活をサボり、いつもの集合場所へ行く。
いつバレるかわからない緊張感もありながら、非常階段をかけのぼる。
時計は五時を差していた。
沈む夕陽を横目に見ながら屋上へ行った。
そこにはいつもの二人が楽しそうに笑っている。
『あぁ、いいなぁ』
いつバレるかわからない緊張感、日常からはみ出て、自由になったような解放感。
こんなこと考えているのは俺だけだろう。
二人には秘密にしておこう。
────鮮やかな橙色の光が僕達を照らす。
こんな綺麗な夕陽なら、二人に言えるかもしれない。
ずっと前から言いたかったことを。
勇気を振り絞って、二人を見た。
『俺をつまらない日々から助けてくれてありがとう。』
そう沈む夕陽を眺めながら微笑む二人に言った。
4/7/2023, 12:37:58 PM