城月凜珠(しろつきりず)

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『凍える朝に』



寒さで目が覚めた
いつの間にか寝落ちしていたらしい

思い返せば、昨夜は、
着替えもしないで布団に突っ伏して、横になり
閉じた瞼の間からこぼれ落ちる涙を感じて
まどろみながら、眠りに落ちた


浮かんでは消えるあの人の面影、声、言葉
もう会えないんだ、と思うと
心が、胸がぎゅっと締め付けられて痛い

あの人と自分を繋ぐ、何かが欲しくて
縋りたい気持ちになる


最後に会った日に、
1人で入ったファミレスのレシートを
お守りみたいに
財布の中にしまっている


あの人にとって私は、
ただ顔を見知っているという
関係性以外の何物でもなく。
だから、
出逢った記念日でも、
ましてや、付き合い始めた記念日でもなく、

ただただ、あの人に縁した“最後の日“として。

私の中に『しるし』として残したい



凍える朝に、あの人の面影で暖をとろうとする

もう会えない私にとって
あの人との繋がりは
心の中で、面影と声と言葉とを思い起こす中でしか
存在し得ない

心を痛めることでしか、あの人への想いを
感じることができない

頬を伝わる涙でしか
愛を確かめることができない

11/2/2025, 4:21:02 AM