日々家

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1000年先も

今日の空はどこまでも澄んだ青色を広げていた。
昨日、この世が終わるんじゃないかと思うくらいに激しく雨を降らせていたのが嘘のようだ。
草木に残る雫が朝日を反射して、世界をキラキラと輝かせている。窓を開ければ、雨に濡れた後の土の匂いが部屋に広がった。それはとても心地よく、思わず深呼吸して体に深く巡らせる。ふと視線を上に向けると、太陽が満足そうに輝いていた。

この先も、私達のことなんて気にもせず好きなように空は姿を変えていくのだろう。
ならば私もそれを見習い、今日は大好きなコーヒーを飲みながら好きに過ごそう。
さて、勝手に怠ける理由にされた空は怒るだろうか?それとも、そんなの慣れっこだと笑うのだろうか?
「ごめんなさい。でも良ければ一緒に怠けてちょうだい」
返事は当たり前のようにない。おとぎ話の主人公のような事をした自分に恥ずかしさを覚えた瞬間、ふわりと柔らかい風が頬を撫でる。
――まあ、たまにはいいか。と気持ちを落ち着かせ、私はお湯を沸かすためにキッチンに向かった。

お気に入りのコーヒーはいつもと変わらず美味しかった。

                        日々家

2/3/2024, 12:28:27 PM