「夜が明けた。」
寝ても起きても、
目の前は真っ暗で
先なんて見えなかった。
感覚もない
耳も聞こえない
意識はあるのに
何も無かった。
そんな僕に君は
微笑みかけて
何度も話しかけてくれた。
君の優しさが僕を少しづつ変えてくれた。
僕は今まで何があったのかを話した。
高校で親父が亡くなったこと
それを機に家族が少しづつ壊れたこと
兄貴が仕事を辞め部屋に籠るようになった。
親父の死がショックだったからじゃない
ただ、自分に甘いだけ
誰も兄貴に触れなくなった
上がそんなだから
下が頑張る
バイトして学費を自分でだす
母親が一切の援助をしないでいいように
母親はすぐため息を吐く
暇さえあればため息
本当に聞きたくない
それが聞こえると
逃げるように部屋に戻った。
これを誰かに言っても
それはお前が頑張らないととか
お母さん支えてあげなよとか
何も知らないくせに
善人ぶるゴミみたいなコメントだけ残す。
君は黙って聞いてくれた。
話終わって怒りが少し落ち着いてきたら
僕は涙が止まらなかった
胸に詰まっていたものが一気に流れるように
沢山泣いた。
君も泣いてくれた。
泣いた君は僕を抱きしめて言ってくれた。
「家族のために頑張ったんだね。
これからは私もいる。」
欲しい言葉だった。
頑張らないとねっていう言葉は
自分は関わらないみたいに感じて
すごく傷ついていた。
だから
一緒に頑張ろうって言ってくれた事が
すごく嬉しかった。
今はまで横にいてくれた君が
何故か凄く輝いて見えた。
君がすきになった。
4/28/2025, 3:43:43 PM