「オレを見て。」
あなたは、オレに背を向け、去ってゆく。
オレだけを見て。
なんで、あなたは他のヤツを見るの。
ありのままのオレを見てくれるのは、あなただけなんだ。
オトコだけど、かわいいものが好きで、きれいなものが好きで、
オンナのコみたいな、かわいい格好が好きで、オトコは恋愛対象じゃない。
でも、オンナになりたいわけじゃない。
そんなオレを受け入れてくれたのは、あなただけなんだ。
だから、他のヤツを見ないで。
オレのことを見て。
「オレだけを……見てくれよ。」
涙が零れる。
目が覚めた。
眩しくて、目を細める。
あなたは、オレのとなりに座っていた。
あなたは、微笑む。
優しい眼差しをオレに向ける。
そして、優しく抱きしめられる。
「怖い夢を見たんだ。」
「そうなのね。」
「うん、あなたが去ってゆく夢を見たんだ。」
夢みたいに、オレの置いて、去ってゆくようで、
あなたの顔を見るのが少し怖かった。
視線を上げられなかった。
「わたしは、貴男のもとを去ったりしない。
だって、貴男を心から愛しているから。」
「ありがとう。」
嗚咽がとまらなかった。
安堵や嬉しさが混ざった、感情が溢れてきた。
言葉には表せられない、あなたを深く愛している理由が
今、分かった気がした。
1/23/2024, 3:18:05 PM