NM 【ニム】

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あの子のことが。


いつも一緒にいたのに、

いつの間にか変わっていた。

昔住んでた家が近くて、よく私の家に来て
たくさん遊んでいたあの子は、忘れていたのだ。


中学一年になったばかりの春、あの子と同じ
クラスになった。

新しいクラスになって、友人ができた。

部活は吹奏楽部に入り新聞委員会になった。

この生活に慣れてきた頃
席替えをした。

初めての席替え



席、近い

中学生になってクラスが同じになったあの子と
席が近くなったのだ。

それから何度か話すようになった。

最初は、ボソッと話した。

「あの、そこ私のロッカー。後ろの。」

「あ、ほんとだ。今どくわ。」
「なんか久しぶりだね。」

「うん。久しぶりだね。」

そのうち、ゲームの話をしたり時々昔の話をするようになっていた。私の生活の中で少しづつ
昔の雰囲気が戻ってきていた。

冬に入り始めてきて、朝と夜だけが震えるほど寒くなる日が続いていたある日に私と仲良くしている
女の子が他の女の子二人と、あの子ともう一人の男の子の前で言った。

「ねぇねぇ、じゃんけんで負けた人から
好きな人発表!」

「公開処刑やん。」

「いいんじゃない?私みんなの好きな子知りたい」

「えー、俺好きな子いないしー」

「まぁやろやろ!」

あの子は何も言わずみんなのノリに乗っかったまま
私も参加していたのだ。

「あ、私。」
(ほんとに最悪だ。こんな時に負けるとかまじで)

周りのみんなは、キラキラした目で私を見つめた。

「いないよ、好きな人。」

みんな、興味をなくしたようで何も言わずそのあともゲームは続いた。
あの子が負けた。私も少し気になっていた、
あの子の好きな人。

「好きな人は、いる。」

私は、浮かれていたようだ。ただ最近少し話すだけで、時々目を合わせるだけだったのに。
あの子は2組の女の子が好きだと言っていた。

、、、


「将来、付き合おう!」

「うん!」

もう、昔のようには話してくれない。

もう、昔のようには遊べない。

もう、むかしのようには...


いつも一緒にいたのに、

いつの間にか変わっていた。

あのころの約束は、思い出すこともないだろう。

昔私が住んでた家の後ろにあった一軒家の家に住んでいた男の子は、私の家のベランダから入り
当時流行っていたスーパーマンのマントと帽子をかぶって私に見せてくれた。

毎日のようにたくさん遊んでいた、

あの男の子は、

もう昔の思い出を忘れていた。

いつも一緒だった、私のたった一人の初恋の
あの子は、私でない他の子を好きになった。

それだけのお話。




11/2/2023, 12:38:32 PM