「どうして空は青いの?」
こちらを見上げる、まるくて大きな両目は、きらきら輝いている。大人はなんでも知っていると信じて疑わないような、期待に満ちた視線が肌に痛い。
繋いだ手にうっすら汗が滲むのを感じながら、俺は今さら後悔した。授業なんてそっちのけで、ひたすら消しカスでねりけしを作ることに精を出していた学生時代を。もっとちゃんと勉強してれば良かった。中学の、理科の高柳先生はなんて言ってたっけ。だめだ、あだ名がタカヤンだったことしか思い出せない。
だけど、いたいけな姪っ子の曇りなき眼を前にして「知らない」とも言えないし、だからといって嘘を教えるわけにもいかない。
「あー、ゆいちゃんはどうしてだと思う?」
苦し紛れにそう問いかけたら、大人の愚かなプライドを見透かされたのだろうか、ゆいちゃんの目から、とたんに光がすっと消えた。「おじさん」と、諭すような声音で呼ばれる。
「質問に質問でかえすのはだめなんだよ」
「あ、はい……」
普通に怒られた。
【テーマ:どうして】
1/14/2026, 3:15:19 PM