君と一緒に
少し先を歩く君の背中を眺めた。
大剣を振り回す力を秘めた大きな背中。
「アルド」
「ん、呼んだか?」
足を止めて振り向く君は、ほのかに笑んでいて。
ああ、嬉しいなって。
「ごめん、なんでもない」
「…そうなのか? 何かあったら言ってくれよ」
「うん、ありがと」
わたしの返事にひとつ頷いて、彼は周囲を見回し仲間の様子も確かめる。
「ノーナ、本当に大丈夫なの?」
聖衣に身を包んだ、中身は大人な少女二人が早足でやってきて両脇に並んだ。少し首を傾げて、わたしを見上げるその目は、共に心配の色。
「貴女はすぐに無理をするのだから」
「まったくなのだわ。辛かったら、すぐに教えるのだわ」
返す言葉もない。それもこんな歳下の少女に言われては尚更。
「大丈夫だよ、メリナ、チルリル。でも、ありがとう、気をつける」
笑って返すと、まだ少し疑いを残してはいるものの、彼女達はわかってくれたようだった。
やっぱり、嬉しいなって、思ってしまう。
先の見えないこの道を、進むのが独りきりではないことが。
これから、いつか一人になっても、決して独りではないと信じられることが。
君と、君達と、ずっと一緒に進めるということが。
#001
#アナザーエデン
1/7/2025, 2:59:13 AM