どんなに離れていても
どんなに離れていても心は一つなんて幻想。遠くの親戚より近くの他人と言うように、どうやっても心の距離と物理的な距離は切り離せない。毎日顔を合わす人のことは毎日頭を支配するが、離れてしまえばそんな人もいたなと頭の片隅に不意に現れたり消えたりしてしまうものだ。それでもどうしても離れなければならない大切な人もいる。好きで好きで、大好きでたまらないのに別れを決意したあの人や、大切だったのに大喧嘩の末疎遠になってしまったあの人に、お別れの言葉も言えないまま遠いところへ行ってしまったあの人も。目の前に楽しいことがあるとふと彼らの存在を忘れ、忘れている自分が心底嫌いになる。ただ、それでも年齢のせいか忘れっぽいことが増えてきた。年齢のせいにもしたくはないが、人間は抗えないものには抗えない。その全てを忘れたくないのに、綺麗なものばかりに思えるような思い出じゃなくて、それ相応に綺麗なことばかりでなかった記憶のままにしたいのに。今日も何かを忘れていそうな頭を抱えて重みのある本に日記をつける。
4/27/2025, 10:22:49 AM